勿忘草―ワスレナグサ―
―図書室―
――ガラッ。
相変わらず図書室は静かだ。
窓からは夕日が差し込んで、薄暗い室内をオレンジ色に染めていた。
騒がしい教室と違い、この図書室には独特の雰囲気がある。
そのこともあって、おれはこの図書室が好きだった。
――フワッ。
カーテンが風で少し舞った。
そのとき、おれは息をのんだ。
夕焼けのせいだろうか。いや彼女の髪は元からすこし茶髪混じりなのだろう。
短めの髪をすり抜けるように風が吹き込む。
その一瞬一瞬にのぞく彼女の横顔はガラス玉のように透き通っていて、
触れれば壊れてしまうような、
そんな気さえした。
ぼくはその雰囲気に半ば殺されながら、白藤さんの席の斜め前に座った。
彼女も気づいた様子だったが、やはり視線は目の前の本にあった。
蓮田「本、好きなんだね。」
白藤さんは黙って頷いた。
蓮田「毎日ここに来てるの?」
黙って頷いた。
――ガラッ。
相変わらず図書室は静かだ。
窓からは夕日が差し込んで、薄暗い室内をオレンジ色に染めていた。
騒がしい教室と違い、この図書室には独特の雰囲気がある。
そのこともあって、おれはこの図書室が好きだった。
――フワッ。
カーテンが風で少し舞った。
そのとき、おれは息をのんだ。
夕焼けのせいだろうか。いや彼女の髪は元からすこし茶髪混じりなのだろう。
短めの髪をすり抜けるように風が吹き込む。
その一瞬一瞬にのぞく彼女の横顔はガラス玉のように透き通っていて、
触れれば壊れてしまうような、
そんな気さえした。
ぼくはその雰囲気に半ば殺されながら、白藤さんの席の斜め前に座った。
彼女も気づいた様子だったが、やはり視線は目の前の本にあった。
蓮田「本、好きなんだね。」
白藤さんは黙って頷いた。
蓮田「毎日ここに来てるの?」
黙って頷いた。