甘めな毒
Sweet poison



 梶くん赤面事件(私が勝手にそう名付けた)の翌日、中島といつものように顔を合わせたけれど思ったよりもマシだった。本当は顔を見ただけで辛くて見ていられないかもしれない、と心配だったけれど、これも昨日の梶くんのおかげだろうか。
 笑わなくていい、泣いていいんだ。そう思ったら前よりずっと気楽になった。


「だからね、梶くんのおかげなの。ありがとね」
「……うん」


 昨日の梶くんの照れ顔が見たくてわざとそんなことを言ってみたのに、当の本人はゲームに夢中で私の話なんて聞いちゃいなかった。難易度高いな、梶くん。
 そうこうしているうちにゲーム機からはいつもの賑やかな音楽。梶くんはふーっと長めの息を吐いてからゲーム機を置いて昼食タイムに入った。
 それを見て今度は私が空になったお弁当箱を片付けてゲーム機を手に取る。


「今日こそクリアするぞっ」
「はいはい」


 梶くんからやる気のない返事を聞いてゲームをスタート。

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