最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。
<暴君のお世話係>
眠い……昨日はほとんど眠れなかった……。
まぶたをこすりながら、教室に入ると、
「アミカ、今日は遅かったじゃない。珍しいね、遅刻ギリギリだよ」
教室の入口付近で、クラスメイトとおしゃべりをしているカナに呼び止められた。
「ちょっと……眠れなくて」
「大丈夫? あんまり無理しちゃダメだよ」
「うん、ありがとう」
あの後、多賀宮くんは硬直する私を置いて帰ってしまった。
ひとり残された私は、しばらく教室でぼんやりして、それから予備校のことを思い出して、フラフラしながら予備校に行ったのだけど。結局勉強どころじゃなくて、なにも頭に残らなかった。
確かに私が助けたのは彼なのに、今までふたりが私の頭の中でイコールにならなかったのは、多賀宮くんと〝死〟があまりにもかけ離れているからだ。
だってあんなにふてぶてしくて、いい加減で……。
私のせいで死ねなかったって言ってたけど、本当に死ぬ気だったの?
死ぬ理由なんて、ないだろうに。
わからない。本当に、多賀宮くんのことがわからない。
いったいなに考えているんだろう。