最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。
2章 君に恋した夏
<思わぬ夜の逢瀬>
とはいえ、補修が終われば多賀宮くんとの関わりなんて、席が前と後ろなくらいで他になんにもない。
気がつけば季節は夏になり、教室にはやっとクーラーが入り、おひるごはんは教室で取るようになっていた。
「アミカ、マジでダメなのかよ」
いつもの大きなおにぎりを食べながら、タケルが「夏休みになったらプールに行こう、花火を見に行こう、遊園地に行こう」と騒ぐ。
「うーん……人気の講座、すぐ埋まっちゃうから、それが決まらないとなんとも」
そして私と言えば、予備校の夏期講習のパンフレットと朝からにらめっこ中だ。
「夏休みも勉強するのかよ……」
「むしろ夏休みこそ勉強しないと、少しでも成績を上げて、判定をよくしないと……」
ここで頑張らなきゃ、少しでも結果を残さなきゃ、お母さんに失望されてしまう。
お母さんは毎日、夜ご飯を食べながら私の勉強の進捗を聞く。