最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。
予備校の成績も、学校の成績も、全部把握してるし、学校の三者面談でもとても熱心だ。私を医者にするために生きていると、豪語するくらいに。
お母さんがたびたび家をあけるのは、私の教育費を捻出するために、料理研究家として講演や教室を全国で開いているからだ。
だから、私が結果を出さなければ、お母さんの努力が無駄になってしまう。そんなこと絶対に許されない。だから今よりもっと頑張らなくっちゃ。
「でもさ、1日くらい遊んでもよくないか?」
タケルが背もたれに肘をつき、私の顔を覗き込んだ。
「無理しすぎると体に悪いぞ。体も心も、たまにはリフレッシュしないと。うん、ここは俺に任せてだな……って、いてててっ!」
急に悲鳴をあげるタケルを見ると、カナに耳を引っ張られていた。
「こら、アミカの邪魔しないのっ!」
紙パックのジュースを片手に持ったカナは、微かに日に焼けていた。
吹奏楽部で体力作りのために外を走っているからだ。吹奏楽部というところは文系に見えて、かなりの体育会系らしい。
それにひきかえ私は真っ白で、医者を目指しているというのになんだか不健康そうで、恥ずかしくなる。