最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。

いや、違う。

違うとわかっていたから、彼は苦笑したんだ。


そうだよ。多賀宮くんは私のことなんかなんとも思ってないし、無理矢理連れてきたのは私だし、彼がうちに来たいっていうのも、プラネタリウム目当てだしっ……。


私だって多賀宮くんのこと、なんとも……なんとも思って……ないし。


思ってない?

本当にそうだろうか。


ふと、キラキラと光る星空を見上げる、多賀宮くんの横顔が浮かんだ。


いつもの、どこか人を突き放すような目じゃない、ピュアな横顔。


あんな顔もするんだって思ったら、もっと見たいって思ったんだ。


そして彼のことをもっと知りたいって……。



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