最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。

それからしばらくして階下に降りると、お母さんが鼻歌を歌いながら、食器を片付けていた。


お客様たちは帰ったみたい。


「あ、アミカちゃん、夜はお寿司とったから」

「そうなんだ。達磨さん?」

「もちろんそうよ。海鮮ちらし寿司」

「やったー!」


思わず子供みたいに喜んでしまった。


達磨さんとは、新井山家御用達のお寿司屋さんのこと。

私はここの海鮮ちらし寿司が何よりも好きなので、本当に嬉しい。


それにしても、普段は模試が終わった後くらいにしかとらないのに。いったいどういう風の吹き回しなんだろう。


手を洗ってダイニングのテーブルに座ると、食器を片付けたお母さんがニコニコしながら、

「明日、お買い物にでも行きましょうか。そろそろ夏服を揃えなきゃいけないでしょう?」

なんて、さらに甘いことを言い出したから、ビックリした。


「えっ、いいの?」
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