最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。
遊園地の最寄駅で降り、改札を出て専用通路を通り入場ゲートへと向かう。
トワイライトパスポートで入るお客さんは、昼間のファミリー層とは違う、明らかにカレカノというか、親密な空気。
もしかして私と多賀宮くんもそんなふうに見えたりするのかな……。
いや、調子に乗ったらダメだ。今日はあまり乗り気じゃなかったのを私が無理やり誘い出したんだし……。
「……おい」
だからあくまでも私が多賀宮くんを楽しませるために頑張らねば。彼がご主人様で、私は忠犬。だから――。
「おいっ」
突然手首を掴まれて、引き寄せられた。よろめいて、正面から多賀宮くんの胸に体ごとあたる。
「きゃっ!」
「ウキャーじゃねぇよ。なんだよ悲壮な顔していきなり迷子かよ」
どうやらゲートに入る前にはぐれかけたようだ。
申し訳なさ過ぎる。
「ごめん……」
しゅんとうつむくと、頭上から「はぁ」とため息が聞こえた。
その声にぐっさりと傷つく私。