最後の瞬間まで、きみと笑っていたいから。

せっかく勇気を振り絞ったのに、どうしてこんなことになっちゃうんだろう。


多賀宮くんに申し訳ないよ……。


そうやって死ぬほど落ち込んでいると、

「最近、お前がどこにいてもわかるんだよな」

私の頭になにかが触れた。


驚いて顔をあげると、多賀宮くんが私の頭の上に、手のひらを乗せていた。

髪に神経なんかないのに、さわられている感触に、ドキドキして。心臓が主張し始める。

さっきまで死ぬほど落ち込んでいたのに、そんな気持ちが多賀宮くんの手のひらで吹き飛んでいった。


私だってわかるよ。

だって多賀宮くんのことが好きだから。

好きだから、どこにいても、多賀宮くんのことわかるんだよ。


「わかるって……それは、どうして?」


ドキドキして問いかけたら、

「多分……お前が忠犬顔してるからだな」

「え……」

さらり、と多賀宮くんが間の抜けたことを言うから、一気に力が抜けた。
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