Princess
あたしに早く会いたかったから走ってきたんですか?

そんなことを言われたあたしは、どう答えればいいのかよくわからなかった。

「行こうか?」

そう言って手を差し出してきた修哉さんに、
「あっ、はい…」

あたしは彼の手に自分の手を重ねた。

「冷たいな…。

いつまで待っていたの?」

そう聞いてきた修哉さんの手は走ってきたこともあってか温かかった。

「あたしも今さっききたばかりなので…」

そう答えたあたしに、
「もう少し早く仕事を終わらせればよかったな」

修哉さんはもう片方の手を挟み込むようにすると、あたしの手を温めた。
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