Princess
「相手は仕方がないって言う顔で俺の前から立ち去ってくれたけど…」

「けど?」

「駅を出た辺りから誰かにつけられているような気がして、それで…」

「それで、走って帰ってきた…と」

そう言ったあたしに、修哉さんはガクガクと首が取れるんじゃないかと思うくらいに激しく首を縦に振ってうなずいた。

「たぶん、あいつらはほのかちゃんが俺のところにいることを知ってる…。

知ってるから俺に声をかけて、後をつけてきたんだよ…」

修哉さんは青い顔で両手で頭を抱えた。

「そ、そんな…あたし、どうすればいいんですか?」

そうなったら、間違いなくあたしは実家に連れ戻されて政略結婚をされてしまうことだろう。

せっかく修哉さんと恋人同士になって、結婚することを楽しみにしていたのに…。
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