Princess
突然のようにやってきた終わりに泣きそうになっていた時だった。

「――俺と逃げよう」

修哉さんが言った。

「――えっ…?」

そう言った彼に、あたしはかすれた声で聞き返した。

「――逃げる、ですか…?」

そう聞いたあたしに、
「とにかく、一緒に逃げよう。

ここにいたら、ほのかちゃんがつかまることは間違いない」

修哉さんは靴を脱ぐと、早足で家の中へと入った。

「に、逃げるって…どこへ逃げるって言うんですか!?」

修哉さんの後を追いながら、あたしは彼に聞いた。

「とりあえず、まずはここから出ることが先だ。

早く荷物をまとめて」

修哉さんは寝室へと足を踏み入れると、クローゼットからボストンバックを取り出した。
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