Princess
大急ぎで靴を履いて、マンションを出たのと同時に走った。

「あの…これからどこに行くって言うんですか?」

修哉さんに手を引かれて走りながら、あたしは聞いた。

「まずはこの街を出ることが先だ」

走りながら修哉さんがあたしの質問に答えた。

駆け込むように駅に入ると、急いで改札を後にした。

「まもなく、電車が発車します。

お乗りの方は…」

飛び込むように電車に乗った瞬間、すぐにドアが閉まった。

修哉さんはようやくあたしの手を離してくれて、先ほどと同じように荒い呼吸を始めた。

あたしも走ってきたせいで、呼吸をするのが苦しくて仕方がない。

荒い呼吸を繰り返しているあたしたちを周りが何事かと言うような顔で見つめている。
< 119 / 150 >

この作品をシェア

pagetop