Princess
「すみません、朝から何も食べていなかったもので…」

そう言ったあたしに、
「近くにマックがあるから、そこで何か食べる?

ああ、お金は俺が奢るから」

小泉さんはベンチから腰をあげた。

「ありがとうございます、何から何まで」

あたしがお礼を言ったら、
「いいんだよ、これくらい。

俺は困っているヤツを見ると見過ごせない主義なんだ」

小泉さんはそう言って笑った後、手を差し出してきた。

「ありがとうございます」

あたしは彼の手を取ると、ベンチから立ちあがった。

「マックが嫌だったら、そこから少し歩いたところにファミレスがあるけれど」

そう言った小泉さんに、
「いえ、マックでいいです」

あたしは首を横に振った。
< 19 / 150 >

この作品をシェア

pagetop