Princess
修哉さんの視線がテーブルのうえの封筒に向けられていることに気づいた。

「あっ、これなんですけれども…」

あたしは椅子から腰をあげると、封筒を手に持った。

「せっかくくれたところ申し訳ないのですが、使わなかったです。

ですので、お返しします」

頭を下げて謝った後、修哉さんに封筒を渡した。

「えっ…ああ、そうなんだ」

修哉さんは戸惑った様子であたしの手から封筒を受け取った。

「後、冷蔵庫の中を荒らして勝手にご飯を作っちゃってすみませんでした」

「えっ、ほのかちゃんが作ったの?」

修哉さんが驚いたと言うように、カルボナーラを指差した。
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