Princess
えっ、何?

何でお母さんも同席するの?

そう思っていたら、
「ほのかも知っている通り、『坂口薬品』は近年は赤字が続いている」

ひどく神妙な顔で、お父さんが話を始めた。

「うん、そうだね…」

あたしは答えた。

おじいちゃんの代から経営している『坂口薬品』は、医薬品の配置販売を行っている小さな会社だ。

主に置き薬を中心に、健康食品の訪問販売や医薬品、健康食品の商品開発や卸販売を行っている。

しかし、近年の不況や医療の発達により、ここ数年は赤字が続いていた。

「だけど、先代から経営しているこの会社を自分の勝手で潰したくはないんだ。

何より、従業員を路頭に迷わせる訳にはいかないんだ」

お父さんはやれやれと言うように、息を吐いた。
< 4 / 150 >

この作品をシェア

pagetop