Princess
缶はもう開けられていたので、すぐに飲むことができた。

オレンジの甘酸っぱさが鼻から抜けて、それまで支配していた吐き気がなくなったのがわかった。

「大丈夫?」

そう聞いてきた修哉さんに、
「平気になりました」

あたしは答えた。

「ホント?

あんまり無理をしない方が…」

「ホントですって!」

あたしはそう言い返すと、ピースサインをした。

「あっ、ハンカチありがとうございました」

それまで手に持っていたハンカチを修哉さんに返した。
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