Princess
修哉さんを寝室へ連れて行った後、リビングに置いてある救急箱を開けた。

「えーっと、風邪薬風邪薬…」

ばんそうこうに包帯、オロナイン、ガーゼ、ホワイトテープ、頭痛薬…と救急箱の中身の確認をしたものの、風邪薬らしきものは見当たらなかった。

早足で寝室へ戻ると、
「修哉さん、風邪薬…きゃあっ!」

上半身裸の修哉さんに、あたしはドアを閉めた。

危うく着替え中のところを失礼してしまった。

「風邪薬がどうかしたの?」

パジャマ姿になった修哉さんがドアから少しだけ顔を出した。

「風邪薬が見当たらなかったんです…」

呟くようにそう言ったあたしに、
「参ったな…」

修哉さんは困ったように呟いた。
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