Princess
「すみません、洗面器を置いてから出かければよかったですね…」

そこまで気が回らなかったことに、あたしは反省することしかできなかった。

「いや、いいよ…」

修哉さんは力なく首を横に振った。

「とりあえず、ベッドに戻りましょう?

ここで寝てたら風邪が…」

そう言ったあたしに、
「ああ、うん…」

修哉さんは首を縦に振ってうなずくと、あたしに支えられながらベッドで横になった。

彼がふとんの中に入ったことを確認すると、
「はい、スポーツドリンクです」

エコバックから買ったばかりのスポーツドリンクを取り出すと、ふたを開けた。

「ありがとう、ほのかちゃん…」

あたしの手からスポーツドリンクを受け取ると、口をつけた。
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