Princess
両親と話しあいをすることはもちろんのこと、家へ帰る気もなかった。

家へ帰ったら間違いなく、結婚の話を進められることだろう。

ホテルへ泊まろうと思って財布の中を見たけれど、入っていたのは1万円札が1枚と小銭が少々あるだけだった。

これじゃあ無理だと言うことで、ホテルに泊まることはあきらめたのだった。

「本当にどうすればいいんだろう…」

勢いで家を飛び出したため、手元には預金通帳と印鑑もない。

それを取りに行くために家に帰りたくない。

「最悪、野宿するしかないかも…」

この寒い中で1人で眠れるかどうかはわからないけれど、それしか他がないだろう。

そう思ったいたら、
「何やってるの?」

その声に、あたしは視線を向けた。
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