最後の100日~君に幸あれ~

今日の拓磨はおかしい。
いつもと変わらないように振る舞っているが何処か緊張している、

連れて行きたいところってなんなんだ。

隣町に着き近くのカフェの中へ入った。

「拓磨、話って何。」

店員さんへ飲み物を頼み本題へ入った。

「俺が今から話すこと。
信用できないかもしれないけど信じて欲しい。」

俺は頷いた。
そして、数秒の時間が過ぎうつむいていた拓磨が顔をあげた。

「まず、俺の初恋の話を聞いてくれ。」

初恋。
拓磨のそういう話を聞くのは初めてだ。

「俺が小2の頃、まだ、祐一と出会う前だ。
俺は周りとコミュニケーションを取るのが苦手でいつも一人ぼっちだった。
俺も曖昧の記憶なんだが、いつかを境に放課後ある空き地へ行くのが日課になっていた。
そして、そこで出会ったのが高校生くらいの女の人と出会ったんだ。」

俺は黙って拓磨の話を聞く。
その高校生くらいの女の人が初恋なのか。

「その女の人とは仲良くなって、毎日会うようになった。
そして、俺はその女の人の事が好きになった。
俺は勇気を出して告白したんだ。」

「返事は…?」

突然黙ってしまった拓磨へ質問をした。

「返事を貰う前に消えた。」

「きえ…た?」

「あぁ。
その前に教えてもらったんだ。
その女の人は俺と出会う前にすでに死んでいるってことを。
その女の人は幽霊だったんだ。
消える直前に言ってくれたんだ。
『幸せな時間をありがとう。
君は笑顔が似合う、だから笑って生きて』って。
俺の目の前でだんだんと薄れて行く彼女を見ながら俺は泣いたよ。」

幽霊…。
そんなものが実在すると信じていなかった、でも、拓磨の目はどうしても嘘を言っているような目ではない。

「それからの毎日は凄く辛くて、だけど彼女の望んだように笑いながら生きようって決めて明るく振舞った。
中学生になって俺は彼女の事を調べるようになった。

名前は分かっていたから調べていたんだ。
そしたら、隣町の駅前で亡くなったって分かったんだ。」

「そうか。
それがこの街ってわけか…?」

拓磨は静かに頷いた。
何故拓磨はその話をしてくれたのかは分からない。
でも、話してくれて嬉しかった。

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