最後の100日~君に幸あれ~
そのあとは子供のようにはしゃいで館内を見回った。
小学生以来の水族館にワクワクした。
「奥…美奈ちゃん、イルカショーあるって。
いこ?」
奥村さんって呼ぼうとした?
名前呼ばれるたびに心臓がキュって締め付けられるような気持ちになる。
これはなんなのだろう。
私はその理由に気づかないように、考えないようにした。
イルカショーは大人気のようだった。
「それでは!イルカと触れ合いたい人はいますか?」
飼育員さんの声に私は祐一君の方へ目を向けた。
触りたい…。
私の思いが伝わったのか祐一君は少し微笑みながら手を挙げた。
こういうところに女の子は惹かれるのだろうか。
「はい!そこのカップルさん!」
他にも数名の人が選ばれ私たちは前へと出た。
カップルさん…周りにはカップルにみられているのかな?
間近で見るとイルカは大きかった。
「では、次の方どうぞ!
ペアルックなんて、仲良しなんですね」
飼育員さんはニコニコしながら私たちを見る。
ペアルック!?
祐一君を見ると確かに私のスカートとにたような柄…。
ドキドキしながらイルカを触ろうと手を伸ばす。
「わっ!」
突然の声に私は驚いてビクッと体を強張らせた。
声の主は祐一君で振り向くと笑いを堪えるように口元に手をやっていた。
私で遊んだなぁ!
「祐一君ひどい!」
「ごめんごめん。
あまりにも目が輝いていたから…ついっ…」
私の反応が面白かったのかずっと笑っている。
私はイルカに触れて祐一君と観覧席の方へ戻った。
「もう!祐一君もう笑うのやめてよ」
「ごめん。つい。あまりにも可愛かったから…っ…」
可愛いって…私は顔が赤くなるのがわかり拗ねたように横にプイッと顔を背けた。