最後の100日~君に幸あれ~
ふと風が吹き周りを見渡した。
いつもルイが立っていたところにルイの後ろ姿があった。
だけど、祐一君たちは見えないはず。
話しかけるなんてできない。
久しぶりにルイを見た。
ルイが消えてしまったのではないかと不安に思っていた。
ルイが私の隣まで歩いて近づく。
「明日の放課後連れて行きたいところがあるんだ。
放課後屋上で待ってる」
そう耳元で囁きルイはどこかへ行ってしまった。
連れて行きたいところって…?
「美奈ちゃんどうかした?」
ボーッとしている私に気づいた祐一君が私の顔を覗き込む。
「え!?
なんでもないよ!!
大丈夫!」
そうだよ、祐一君たちには見えてないんだ。
ルイと久しぶりに会えた。嬉しい。
そして、チャイムが鳴り私達はそれぞれ教室へ帰る。
「奥村さん。ちょっと待って。話があるんだ。」
二階堂君に引き止められ私は振り向いた。
何の用だろう。
「祐一と葵先に行っててくれ」
首を傾げながら二人は屋上の扉から校内へ入って行った。
「二階堂君、話って何?」
「さっき。奥村さんの耳元で何を言って行ったの?」
「へっ?」
二階堂君には見えていたのか。
この前の忠告もある。二階堂君にはルイが見えているの?
「祐一と葵には見えていないよ。
見えているのは俺だけ。」
「そう…なんだ。
明日…連れて行きたいところがあるって…」
「そっか。
奥村さんって、そのルイって人のこと知ってるの?
生きてる時友達だったの?」
二階堂君は真剣な表情で聞いている。
私の友達にルイと言う人がいたことがない。
「わからないの。
友達にルイって言う人はいなかった。」
「そっか。
引き止めてごめんね。
まぁ、何かあったら祐一でも俺でも頼れよ!」
そういい二階堂君は出て行ってしまった。
私とルイはどこかで会ったことがあるのだろうか。
ルイは初めて会った時復讐をしに来たと言った。
私はルイが生きている時になにか酷いことをしたの?
考えてもわからない。
私は急いで教室へ戻った。