最後の100日~君に幸あれ~

ふと風が吹き周りを見渡した。

いつもルイが立っていたところにルイの後ろ姿があった。

だけど、祐一君たちは見えないはず。
話しかけるなんてできない。

久しぶりにルイを見た。

ルイが消えてしまったのではないかと不安に思っていた。


ルイが私の隣まで歩いて近づく。

「明日の放課後連れて行きたいところがあるんだ。
放課後屋上で待ってる」

そう耳元で囁きルイはどこかへ行ってしまった。

連れて行きたいところって…?

「美奈ちゃんどうかした?」

ボーッとしている私に気づいた祐一君が私の顔を覗き込む。

「え!?
なんでもないよ!!
大丈夫!」

そうだよ、祐一君たちには見えてないんだ。
ルイと久しぶりに会えた。嬉しい。

そして、チャイムが鳴り私達はそれぞれ教室へ帰る。

「奥村さん。ちょっと待って。話があるんだ。」

二階堂君に引き止められ私は振り向いた。

何の用だろう。

「祐一と葵先に行っててくれ」

首を傾げながら二人は屋上の扉から校内へ入って行った。

「二階堂君、話って何?」

「さっき。奥村さんの耳元で何を言って行ったの?」

「へっ?」

二階堂君には見えていたのか。
この前の忠告もある。二階堂君にはルイが見えているの?

「祐一と葵には見えていないよ。
見えているのは俺だけ。」

「そう…なんだ。
明日…連れて行きたいところがあるって…」

「そっか。

奥村さんって、そのルイって人のこと知ってるの?
生きてる時友達だったの?」

二階堂君は真剣な表情で聞いている。

私の友達にルイと言う人がいたことがない。

「わからないの。
友達にルイって言う人はいなかった。」

「そっか。

引き止めてごめんね。
まぁ、何かあったら祐一でも俺でも頼れよ!」


そういい二階堂君は出て行ってしまった。

私とルイはどこかで会ったことがあるのだろうか。
ルイは初めて会った時復讐をしに来たと言った。

私はルイが生きている時になにか酷いことをしたの?


考えてもわからない。


私は急いで教室へ戻った。


< 122 / 182 >

この作品をシェア

pagetop