最後の100日~君に幸あれ~
誰もいない屋上で~no side~
誰もいなくなった屋上でルイはそっと息を吐いた。
ルイは手を目元に当て上を向いた。
指の隙間から一筋の線が伝う。
「ごめんね。美奈」
ルイは手を離した、目元からは沢山の涙が溢れていた。
「ごめんね。美奈…愛してるんだ。
初めて心から信じれる人と出会ったんだ、初めて僕が幸せにしてあげたいって思えた人だったんだ…」
いつかくる別れを分かっていた。
だから、ルイは自分の気持ちを伝えずに応援していたのだ。
「沢田…祐一…クン。
君なら美奈を幸せにできるはずだよ」
美奈と初めて会ったとき美奈の小指には細長い赤い糸が見えた。
人はそれを運命の赤い糸って呼ぶらしいね。
僕には見えたんだ。今も美奈と沢田祐一君の小指は赤い糸で繋がっている。
「僕はずっと君が幸せに暮らせるように祈ってるからね…」
そう言いながら手すりに寄りかかりながら座った。
ギィッと音を立てて開いたドアにルイは目を移した。
そこに立っていたのは二階堂拓磨。
どこか気まづそうな顔をしている。