最後の100日~君に幸あれ~
〜五年後〜
「ママ!!」
という声に私は現実世界へと戻される。
目の前には一歳になる娘の瑠花(るか)
高校卒業後、私と祐一は結婚した。
「瑠花。おいで。」
「うん!」
駆けてくる瑠花を抱き上げ、そっと下を見つめる。
目線の先には、古い木に『ルウ』と書かれたものが置いてある。
「瑠花〜寒いから上着ろって言ってるだろ」
奥の部屋から祐一が瑠花の上着を持って来てくれた。
「瑠花、おもちゃは片付けなきゃダメだろ?
もうすぐお姉ちゃんになるんだから」
と言いながら瑠花に上着を着せる。
そう、私のお腹の中にはもう一つの命を授かった。
「美奈も!
寒いんだから上を着なさい」
祐一は自分の来ているコートを脱ぎ私の肩にかけてくれる。
「祐一。ありがとう。」
「もうあれから、五年か。
早いな」
私達は目の前にあるルウのお墓に花とお線香をあげる。
私達は結婚を機に、壊されそうになっていた私が以前住んでいた家に移った。
こうやって毎年ルイが消えてしまった12月13日に花とお線香をあげている。