だから私は、明日のきみを描く







「あのね、彼方くんを誘おうと思うの」


文化祭を三日後にひかえたある日の昼休み。

お弁当の玉子焼きをゆっくりと箸で切りながら遥が言った。


じっと見つめ返していると、遥は照れたような表情で続けた。


「文化祭のときね、一緒に回ろうって……誘ってみようかなって」

「うん、いいんじゃない。がんばって」


私は大きく頷きながら答える。

勇気を出して決心をした遥を励ましてあげたかった。


「いきなり何、とか思われないかなあ?」

「大丈夫だよ。だって、最近はちょこちょこ話してるでしょ? いきなりなんて思われないよ、きっと」

「でも、やっぱり、誘うのとかこわいな……だって、どう考えても好きってばれちゃうよね。告白してるも同然だよね」

「うーん……でも、とりあえず一緒に回るだけだし、そこまで気にしなくていいって」


私が説得しても、遥はまだ悩んでいる様子だった。

しばらく頭を抱えていた彼女がふと顔をあげた。


「ねえ、遠子も一緒に行ってくれない?」

「……えっ?」

「一人じゃ勇気出ないから、ねえ、お願い!」


遥に両手を合わせて拝まれて、断れるわけがない。


「……うん、分かった」


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