だから私は、明日のきみを描く
*
「あのね、彼方くんを誘おうと思うの」
文化祭を三日後にひかえたある日の昼休み。
お弁当の玉子焼きをゆっくりと箸で切りながら遥が言った。
じっと見つめ返していると、遥は照れたような表情で続けた。
「文化祭のときね、一緒に回ろうって……誘ってみようかなって」
「うん、いいんじゃない。がんばって」
私は大きく頷きながら答える。
勇気を出して決心をした遥を励ましてあげたかった。
「いきなり何、とか思われないかなあ?」
「大丈夫だよ。だって、最近はちょこちょこ話してるでしょ? いきなりなんて思われないよ、きっと」
「でも、やっぱり、誘うのとかこわいな……だって、どう考えても好きってばれちゃうよね。告白してるも同然だよね」
「うーん……でも、とりあえず一緒に回るだけだし、そこまで気にしなくていいって」
私が説得しても、遥はまだ悩んでいる様子だった。
しばらく頭を抱えていた彼女がふと顔をあげた。
「ねえ、遠子も一緒に行ってくれない?」
「……えっ?」
「一人じゃ勇気出ないから、ねえ、お願い!」
遥に両手を合わせて拝まれて、断れるわけがない。
「……うん、分かった」