だから私は、明日のきみを描く
*
放課後、私たちは連れ立ってA組まで行った。
終礼が終わっているのを確認して、廊下の窓から中を覗きこむ。
「彼方くん、いるかなあ?」
と遥が首を巡らせる。
「いるよ……、あそこ」
見渡すまでもなく、すぐに私の視線は彼方くんの姿に吸い寄せられた。
彼を差した私の指を追って遥の目が動く。
彼方くんを見つけると、彼女は私の腕をつかんだ。
「やばい! いるよ、見つけちゃったよ、どうしよう」
私はくすりと笑って「いて良かったよ、声かけよう」と言った。
でも遥は頬を押さえて、どうしよう、と迷っている。
彼女の勇気が出るまで待とうと、彼方くんのほうに目を向けると、目があってしまった。
「あっ、遠子ちゃん」
そのまま駆け寄ってくる。
私は慌てて一歩下がり、遥の後ろに立った。
「遥ちゃんも。どうしたの、誰かに用?」
遥はだまっている。
その背中をつつくと、遥は意を決したように「あの」と声をあげた。
「彼方くん、文化祭のときに誰と一緒に回る?」
彼方くんはきょとんと目を丸くした。
「え……うーん、まだ決めてなかったけど、たぶんあいつらと」
彼方くんが指差したのは活発そうな男子の集団だった。