王太子様は無自覚!?溺愛症候群なんです
エドワードはほとほと困り果てて眉を寄せた。
彼がため息を吐くと、ラナはビクリと怯えたように僅かに身体を揺らす。
「キャンベルで起こることは、俺が責任を持って解決したいと思っている。これは俺にとって譲れないことなんだ」
ラナはそれを醜いことだと知りながら、彼の言葉の意味を邪推せずにはいられなかった。
(キャンベルには、デイジー様がいらっしゃるから。だから、ご自身で力を尽くしたいと思うのかしら)
ラナは自分の考えにうんざりする。
こんなにウジウジした自分は初めてだ。
(これ以上はいけないわ。私の単なるわがままだもの)
彼は公務のためにあちらへ行くと言っているのだから、ラナだけが駄々をこねるわけにもいかない。
ラナは顔を上げ、エドワードに向かって初めてつくり笑いを見せた。
「そう、ですか。無理を言ってごめんなさい。殿下がおっしゃるのですから、きっと大変なことが起こっているのですね。国王陛下がキャンベルの件を殿下に一任なさったのでしたら、妃になる私も応援します」
悲しいことに彼女は、自分の感情を隠すのがとても達者な王女だった。
ラナの豊かな感受性を殺さないために、必要なときには本心をうまく包み隠せと、父が教えてくれたことだ。
エドワードは、普段誰よりも素直な彼女の偽りを見抜けるほどにはまだラナを知らなかったので、ホッとして息を吐いた。
「ああ。父も俺のあの地への思い入れをわかってくれているんだ。10年前からの因縁さ。俺とライアンと、そしてキャンベル辺境伯のご令嬢の」
ラナの喉の奥で、ヒュッと小さな音が鳴る。