キミが好きなのは俺
4.縮まる距離
次の日から、
学校へ行くと、優くんを見かけることが多くなった。
今まで知らない人だったから、単に気づいていなかっただけかもしれないけれど。
「陽菜、行くよ。」
「うん、ちょっと待って亜紀ちゃん。」
次の授業に移動するため、亜紀ちゃんの後を追いかける。
私たちは2回生だから、まだ必修の授業が多くあって、
ほぼ3号館に閉じ込められている状態。
「ねぇ亜紀ちゃん、なんで私たちずっとここなのかなぁ。
もっときれいな所で授業受けたいよね。」
他の学部では、最近建て替えや内装をきれいにし直した館、
新しくできたばかりの館で授業をしているのに、法学部だけはなんでこんなに古いの。
「それは間違いないよね。」
本当、法学部生は悲運だわ、なんて言いながら、手をひらひらさせ歩いていく亜紀ちゃん。