キミが好きなのは俺
この前っていうのは、きっと教室移動中にすれ違って、あいさつした時のことだよね。
「うん、そうだよ。亜紀ちゃんは甘いものあんまり好きじゃないみたいだから。」
だから取り合ってくれないのは当然なんだけど…、
やっぱり、私の好きな人だから、私の好きな物を好きになってほしいって思っちゃう。
ただの押し付け、なのかもしれないけど。
「そっか。それは悲しいな。」
・・・優くん。優しいな、やっぱり。私の気持ちを分かってくれて。
「だからね、優くんが美味しいって言ってくれて、本当に嬉しかった。」
そう言うと、優くんの顔は少し赤くなっているようだった。
だけど、
「俺も、教えてももらえて良かったよ。」
気づけばいつもの微笑んだ優しい顔に戻っていた。