キミが好きなのは俺
私は、まだ数回しか履いたことのないパンプスを履き
「…行ってきます。」
いつものように誰もいない部屋に声をかけ、部屋を出た。
履き慣れないパンプスをかんかんと響かせ、エレベーターホールに向かうと
そこにはエレベーター待ちをしている優くんがいた。
「あ、優くん。」
「え、陽菜ちゃん。」
優くんは、私の格好を見て、少し不思議そうな顔をした。
「今からどこか出かけるの?」
多分、私がワンピースを着ていることが、珍しいんだよね。
確かに、基本的にスカートとかワンピースは選ばないし。
靴も毎日ほとんどスニーカーなのに、今日はパンプスまで履いちゃっているからなぁ。