キミが好きなのは俺
「いや、全然待っていないです!」
すごく待った気分だったけど、時計を見るとまだ12時50分で。
だから、そんなに申し訳なくされると、私が申し訳なくなってくる。
「本当は、おれが先に待っていたかったんだよね。ごめんね。
陽菜ちゃんを一人でこんなところに待たせるなんて、おれ…。」
後半は、健一さんの声のボリュームが下がっていったから聞こえなかった。
だけど、先に待っていたかった、って言ってくれて
やっぱり健一さんは紳士だなって思った。
「私、さっき来たばっかですし、健一さんのそのお気持ちが嬉しいです。
だから、謝らないで下さい。」
私は、本当に気にしていないってことを伝えたくて、ニコッと笑って伝えた。
すると健一さんも
「うん、ありがとう。今日のデートで挽回するよ。」
元気になってくれた様子だった。