キミが好きなのは俺
いや、まだお部屋に人が来たことはないんだけどな…。
全部自分用に買おうとしていたのが恥ずかしくて、思わず話を合わせちゃった。
なんだか、洗い物をためてしまうようなだらしない女の子だ
っていうのを健一さんに知られたくなくて
これ以上話を振られてボロが出ないように
私は食器が陳列されている棚を見ることに集中した。
このお店には、シンプルで可愛らしい食器がたくさん並んでいる。
その中でも私は、淡い色の小さなひまわりが水彩画で描かれている
陶器のマグカップとお皿のセットを発見し、心を奪われてしまった。
「これ・・・可愛い。」
私はそうつぶやきながら、マグカップを手に取る。
「気に入ったの見つけた?」
「はい…。一目ぼれしちゃったみたいです!」
「そっか、良かったね。いいのが見つかって。」
健一さんはそう言って笑ってくれる。