キミが好きなのは俺

そして、さらに数分待っていると

健一さんは手に何かを持って帰ってきた。





「ごめんね、陽菜ちゃん。」



小さな声で、ささやく健一さん。



そして、私の隣に座り、ひざかけを差し出してくれた。





「あ、ありがとうございます…。」



私も小さな声で返す。





「これ探していたら、ちょっと道に迷っちゃって。


 すぐ帰ってくるはずだったんだけど…

 一人で待たせちゃってごめんね。」



健一さんの顔まではしっかり見えないけれど

すごく申し訳なさそうな感じが伝わってくる。



わざわざ私のために、ひざかけを探してくれたんだ…。





「い、いえ・・・。ありがとうございます、健一さん。」



私がそう言って、軽くお辞儀をすると


これからプラネタリウムの上映が始まるとのアナウンスが流れる。
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