キミが好きなのは俺
玄関のオートロックを開けて、中に入り、エレベーターに乗り込む。
4階のボタンを押して、扉が閉まるの見つめると
扉は、慎重に慎重にと言っているかのように、ゆっくり閉まる。
そして、エレベーターは、中に乗る人を大切に運んでいるかのように、ゆっくり上昇する。
早くしてと思えば思うほど、時間がゆっくり流れているみたいだった。
ようやく4階に到着すると
私はエレベーターから飛び出して、優くんの住んでいる1号室へと走った。
でも、いざ1号室の前に着くと、急に緊張してしまい、どうしていいか分からなくなる。
「もし寝てたら…どうしよう。起こしちゃうことになるよね。
それに、もしお家にいなかったら・・・」
仮定の話が頭のなかをぐるぐるし、不安と緊張で心臓がドキドキしていた。
「いや、うん、こういう時こそ笑顔だよね。なんとかなるよね。」
いろいろ考えても仕方がないと思った私は
一度深呼吸をし、優くんの部屋の玄関前のインターホンを押した。