キミが好きなのは俺
わぁ、もう健一さん着いているんだ。先輩を待たせちゃうなんて申し訳ないな。
《すみません。ありがとうございます。》
ゆっくりおいでと言われてしまった手前、急いで行きます、なんて言わない方が良いと思い
短く返信をした。
だけど、ゆっくり歩いて行くなんて、そんなことできない。
私が今いる正面門から食堂は、そこまで離れていない。
私は走って食堂へと向かった。
食堂に着き、左側の席を探す。
まだ時間帯も授業中というだけあって、人が溢れかえっているわけではないから
すぐに健一さんの姿を発見することができた。
「健一さん、お待たせしてしまってすみません。」
「全然待ってないよ。それより、陽菜ちゃん走ってきたの?」
私が少し息切れしているのがバレちゃったみたいで…
「ゆっくりでいいって、言ったのに。」
健一さんは笑いながらも、眉を下げて申し訳なさそうな顔をしていた。