キミが好きなのは俺

優くんの発したその一言によって




私の言葉は肝心なところを前にして



遮られてしまった。





そして、優くんはそれだけを私に伝えると



その後何も言わず、そのまま扉に向かって歩いていき




教室を出て行ってしまった。





「・・・っ。」





息をするのも忘れるくらい・・・




一瞬、何が起きたのか、理解できなかった。




ただ優くんの歩いていく後ろ姿を見つめることしかできず


教室に取り残された私。





私の知っている優くんは


ちょっと強引だったり、クールに澄ましていたりすることはあっても



そこにはいつも、温かさとか優しさがあった。





だけど…今さっきのは・・・





すごく冷たくて



何も感情が見えない




今までに見たことのない優くんの姿だった。
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