キミが好きなのは俺
けれど
私が期待していた場所に目を向けてみると
そこには優くんの姿は無かった。
トクンと波打つ心臓を隠しながら、私はとりあえず一番後ろの窓際の席に座る。
すると
右斜め前の方に
見たくなかった
いや
見つけたくなかった姿を発見してしまう。
・・・優くん…。
手のひらをぎゅっと握りしめる。
優くんの前後左右には、違う人が座っていた。
他にも空いている席は少なからずあるのに
厳重なボディーガードをつけているみたいで。
誰にも近寄らせないために…
いや、きっと…
私に近づくことをさせないために
周りに囲まれた窮屈そうな席に優くんは座っていた。
「やっぱり・・・か…。」
前を向いていた私の顔も、気持ちと共に下に落ちていく。
なんとなく想像はできていたのに
人は自分に都合がいい期待をどうしてもしてしまうもので
その期待とは全く違う現実に
心が打ちのめされてしまった。