キミが好きなのは俺
亜紀ちゃんは1コールで電話に出てくれた。
「もしもし、陽菜?もう終わったの?」
「亜紀ちゃん。…ごめん、伝えられなかった…。」
「え?どういうこと?」
亜紀ちゃんの声を聞くと
安心したからなのか
また涙が出てきそうになって、声も詰まった感じになってしまう。
「うん…それがっ…。優くんに…っ。」
1,2コマの出来事を思い出すと、すごく辛くなって言葉にすることができない。
「陽菜、今どこにいるのっ?」
「まだっ、3052にいる。」
「分かった。そこでちょっと待ってて。」
亜紀ちゃんは焦ったようにそう言うと、電話を切った。
無機質なピーッピーッという音が、受話口から聞こえる。
私・・・亜紀ちゃんにまで迷惑かけてる。
亜紀ちゃんは3コマ授業なのに。
亜紀ちゃんに会いたくて
一人になりたくなくて
だから亜紀ちゃんに連絡したのに
亜紀ちゃんに迷惑をかけてしまっているという申し訳なさと
亜紀ちゃんが『待ってて』と言ってくれたことに対する嬉しさが
心の中で渦巻く。