キミが好きなのは俺
右を向いて歩いていた私は、その声に反応し顔を左へ向けると
「あ…健一さん。」
こんな時に知り合いに会いたくなかった…。
タイミング悪いよ・・・。
「今からどこ行くの・・・って、陽菜ちゃん、どうしたの?」
健一さんは私に近づきながら
私の顔がひどいことになっているのに気付いたみたいで。
初めはにこやかだった表情が、困惑した表情に変わった。
「ちょっと…いろいろあって。」
私は返事に困り、ごまかすように笑って答えた。
きっと、鼻はもう赤くなってはいないだろうけど
目は腫れて、赤くパンパンになっているだろうし
さすがに何も無いとは言えない。
「そうなんだ…。大丈夫?何かあったら、聞くよ?」
一瞬戸惑ったような顔をして、心配そうに
でも優しい声で聞いてくれる。