キミが好きなのは俺
「いえ、大丈夫です!もうお家に帰りますしっ。」
私は首を振りながら
これ以上健一さんに迷惑をかけないように、笑顔で答えた。
ただ、あまり上手に笑えなくて、顔が引きつっていたかもしれない。
「だったら、家まで送っていくよ。お家は、どの辺にある?」
健一さんは、軽く膝を曲げてそこに手を置き、視線を私の高さに合わせていた。
まるで小さい子を相手にするかのように。
「私、一人で帰れます!」
私は少し大きめの声で答えた。
健一さんに家まで送ってもらうなんて、申し訳なさすぎる。
・・・というより、申し訳ないという気持ち以上に
今日は一人で帰りたいというのが、本音。
私がこんなんだから、きっと健一さんは私に気を遣ってくれると思うけど
今の私じゃ、その気持ちに応えることがきっとできないし
それに今は、このまま何も考えずに、ゆっくり休みたい。
「でも陽菜ちゃん、今すごく無理し・・・」
「ごめんなさい、健一さん。
気持ちは嬉しいんですけど
今日は一人で…帰りたいんです。」