キミが好きなのは俺

だけど今は




一瞬の嬉しさのあとに



苦しさばかりが胸に押し寄せてくる。





早く優くんから目を逸らしたいのに



優くんの姿をどうしても目で追いかけてしまう。





優くんのことが好き




でもその優くんは私のことを遠ざけていて



その事実に胸が痛んで苦しくて



でもやっぱり好きで…。





永遠に続いていきそうな、この気持ちのループ状態から




早く私は抜け出したくて




重く動かない足を必死に必死に動かし




なんとかマンションの中に入った。





エレベーターに乗っている間も



部屋の前のろうかを歩いている間も



扉を開けて部屋の中に入ってからも



ベッドに横たわって目をつむっても




さっき優くんの姿を目撃してしまったせいか




今日の優くんのことが思い出されてしまう。





亜紀ちゃんと健一さんの言葉を、思い出せないくらいに。





抑えることのできない




胸の痛み



苦しさ



悲しさ…





“好き”な人に避けられてしまうことが




こんなに辛いなんて思わなかった。





だけど、朝からたくさん涙を流した私の体は限界だったみたいで





目をつむりながら涙を流しているにもかかわらず




気づけば眠りについていた。
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