キミが好きなのは俺

昨日




これからは優くんに会うことも



話しかけることもしないと決めてから





本当はそんなこと望んではいない自分の心と



その決断が正しいんだと思う自分の心がぶつかり合い




その痛みに耐えきれず





私は一晩中泣いていた。





そして、朝起きると




いつもと変わらない天井



目覚まし時計



洗面台の鏡に映る私…




そんな変わらない景色が




色を失ったモノクロの世界になっていた。





今日のお昼ご飯が楽しみだとか



少し早く起きることができて嬉しいとか



雲一つない青々とした空を見ることができて幸せとか




そういうキラキラとした感情が一切湧かなくて。






目に映る景色も




耳に聞こえてくる音も




肌で触れる温度や質感も




鼻に入ってくる香りも




舌で感じる味も





五感はいつも通りなのに




すべて心を通り抜けて



何も残らず一瞬で消えていってしまう。





優くんという存在は



いつしか私の心の大部分を占めていたみたいで





優くんと関わることをやめる…





その決意によって




心にぽっかり穴が開いてしまったみたいだった。
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