キミが好きなのは俺
「よしっ、じゃあ出発するか!」
健一さんへのからかいを終えたのか、
かずさんは、私たちに向かって声をかけた。
「今から向かうところはね、
きれいに桜が見えるところなんだよ。
きっと、陽菜ちゃんも気に入ってくれると思う。
・・・ちょっと人が多いところが残念なんだけどね。」
シートベルト締めた健一さんは、顔だけをこちらに向けて
説明してくれた。
「そうなんですね。 楽しみです!」
そう答えると、
健一さんは私に微笑んでくれて、再び前を向いた。
健一さん・・・素敵な人だなぁ。
かずさんとは、また違う良さがある。
それにしても・・・、今日は、なんか新しい出会いが多い日だなぁ。
学校では優くんと出会って、
これからお花見を見に行く車の中で、健一さんと出会って。
なんだか不思議。どういう巡り合わせなんだろうな。