キミが好きなのは俺
「陽菜ちゃん、お待たせ。
行こっか。」
荷物をおろし終えたみたいで、健一さんが優しく声をかけてくれた。
「はい!
あの、荷物ありがとうございます。
私も何か持たせてください。」
マネージャーをやっているのに、私がお世話されちゃってるよ。
部活では、5キロはあるジャグを運んだり、たくさんボールの入ったネットを持ったり、
意外と力仕事をこなしているから、体力には自信がある。
だから、私も何かしたい。
「持ちましょうか、じゃなくて、持たせてください、なんだね。
陽菜ちゃん面白いね。」
多分私がお願いしたからなのかな、健一さんは、それがおかしかったみたいで笑っていた。
そして、私の頭をポンポンとして、
「ありがとうね。
でも、女の子なんだから、こういう時は男に任せておけばいいんだよ。」
微笑みながら健一さんはそう言った。