人魚姫の願い
1章 人魚姫
夢見る少女



「お前ら人の夢、バカにしてんじゃねぇよ!人がどんな夢、持っていたって自由だろうが!」

‥と言って中学生の時にかばってくれた先輩。

今でも覚えてるよ。気づけば隣には先輩がいてくれた。すごく嬉しかったな。憧れの先輩にかばってもらえて。でも、私と先輩は不釣り合いだよね。そんなのわかってる。わかってるけど‥。



「えっ!?‥美凪の夢て人魚姫になることなの?」

「うん。そうだよ。だから私、水泳始めたの。人魚姫になるために。」



ここは美星高校の食堂。健康スポーツ福祉コース1年で水泳部の綾瀬美凪(あやせ みなぎ)は友達で同じクラスの永倉智未(ながくら ともみ)と昼ごはんを食べていた。智未は‥


「あんた、すごいね。それだけで水泳始めて、いい成績おさめてるんだからすごいよ。」

「いや、私なんか全然!才能なんかないし趣味でやってるだけだから。それにまだまだ、人魚姫には慣れてないし‥。」

そこまで言った時だった。


「プッ。アハハハハ!!」

後ろの席で男子生徒が笑っていた。

これを見た智未が怒って言う。

「ちょっと、笑うなんて失礼じゃないですか!?」

「智未ちゃん!大丈夫だから、気にしないで!!私、慣れてるし。」

「‥あいかわらず、人魚姫好きなんだね。」

そう言って振り向いた人は‥

「す‥須崎先輩!?」

これが中学の時にかばってくれた須崎望(すざき のぞむ)先輩との再会だった。
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