想い ~それぞれの気持ち~






✳翔side✳

びっくりした。


真っ直ぐに上がる綺麗な手を見て。


昨日零に話した井上さんが同じ委員会に手を挙げていたから。


委員になったあとは授業中なのに前のやつとか後ろのやつに、


「ずりぃ…」


って嘆かれたっけ。


休み時間につるんでいた同小の仲のい
いやつと話している時に君が声をかけてきた。


(井上さん……?)


「神谷君、委員会よろしくね!」


そう言ってはにかむ井上さんはとてもかわいくて…


「こちらこそよろしく!あと、神谷ってあんま慣れねぇから翔でいいよ」


本当は翔ってその唇から言ってほしいだけだけどね。


するとなぜか君は俯いた。


なんかまずいこと言ったか?


不思議に思って声をかけた


「井上さん?」


すると井上さんは笑顔に戻って


「うん、翔よろしく!私もさくらでいいよ」


と言ってきた


照れて頷くことしか出来ない自分を少し情けないと思った


さくら……


さくら……


声には出せなかったけど心の中でその名前を繰り返しては喜びに浸っていた。










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