その声を求めて
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「さて菜月、
ご飯食べに行こうか」
「うん」
司君の腕の中、気付けば窓の外は
夕焼け空と夜空の中間だった。
「ごめんね、司君」
「ん?」
「寝ちゃって……。
腕とかその、疲れたよね」
「あぁ、大丈夫だよ。
菜月の寝顔可愛かったし」
「見たの!!?
変態!!!!!」
「えぇー!?酷い…」
何だか気が抜けて、いつの間にか
司君の腕の中で寝てたとは…
なんたる失敗!
折角司君と居られる
貴重な時間なのに…。
しょんぼり落ち込む私に、
司君は急に顔を覗き込んできた。
え、近い………!
「………っ、近」
「菜月、会いに来てくれてありがとう」
「…………何、急に」
「んー、何となくそう思って」
穏やかに笑いながら、
そっ…と私の手を握る彼。
彼の体温と私の体温が交じり合い、
じんわり熱を持つその場所。
電話越しではないその声に、
熱を帯びるのはどちらが早いのか。
―――まだ、夜は始まったばかり。