理由は聞かない
そんなやり取りの間にも、光の筋がたくさん流れていっていた。池のほとりに着いて、その光が強く優しく流れていた。

「きれい。」

水面に写る光の筋。頼りないようで、しっかりとある光。

言葉も、過去の記憶も、面倒な自分の感情も、ずっと遠くに放り出して、ただただ光の筋を目で追った。

隣にいる久保さんのことも、すっかり忘れて。

「あのさ」

その声に、ビクッとした。そうだった、一人ではなかったんだ。

久保さんは、少し間を開けて、言葉を続けた。
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