理由は聞かない
今泉さんちのおじいちゃんの事故は、なんとかなりそうだということ、書類も揃ったし、相手方の修理もすぐ入りそうだということ。

「ありがとうございます。でも、仕事の時でいいですよ。」

正直な気持ちを伝えた。もう業務時間は終了して、自宅にいる自分にはあまり必要がない情報だ。

「あのさ。」
「はい。」

電話の向こう側で、久保さんが深く息をはいた。

「もっと、人を頼りなさい。」

胸の奥を、一言でぐわっと掴まれた気がした。
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